熊本地震に学ぶ2(熊本視察編)第1日目

熊本地震に学ぶ2(熊本視察編)第1日目

  日時:2017年5月20日(土) 終日

  場所:益城町 復興住宅 テクノ仮設住宅 甲佐町 小川町(懇親会)

 

今年2月に開催した「熊本地震に学ぶ」の延長企画として、震災より約1年を経過した現地を実際に自分の目で見て回り、各地のキーマンにお話をお伺いするという例会を、5月20、21日に行ないました。参加者は福岡支部の会員と千葉支部より参加の鎌田氏の14名、JSCA木造部会員と一般の方5名、そして現地案内や講師の方が7名でした。

益城町の状況

A.[益城町の視察] 最も被害の大きかった益城町役場より秋津川沿いまでの周辺を歩いて視察をしました。あちこちで解体の進む被災地には、今年中に木山復興土地区画整備事業の策定が進んでいますが、一方では事業を待ちきれない新築住宅の建設も進められていました。ご自身も被災された[Zoological garden:田尻様]の事務所跡地にて当時の状説や今後について伺いました。整備地区の中心には断層も通っている事から、現地建替えについては強い拒絶感もあるとの事です。復興のシンボル的な県道高森線の四車線化の拡幅は、広範囲の立ち退き等が必要であり住民は積極的には望んでいないとの事の様でした。

 

 

復興住宅と仮設住宅の状況

B.[くまもと型復興住宅の視察] 益城町テクノ仮設団地内に建設されている「くまもと型復興住宅」の展示場にて、中心となって活動されている[熊本工務店ネットワーク:久原様]にお話を伺いました。最初の木造応急仮設住宅は、4月末に着工と素早い対応をされていますが、これは「全木協」などとの連携によって可能だったとの事でした。短期間で限られた予算内で、ベタ基礎や高断熱の仕様の仮設住宅の施工など、避難の長期化や住み心地に配慮をされていました。しかし地元の設計事務所等との協力や、士会等の各設計団体等との協力は充分にできず、その後も様々な諸問題もあるようです。

 

C.[益城町テクノ仮設の視察] 県内で最大の規模である益城町テクノ仮設団地内のみんなの家で、仮設住宅の現状や取組について[テクノ仮設団地自治会長:吉村様]にお伺いしました。経験のない避難所での生活において、負担の重い行政担当者との連携の重要性。またその後の自主運営やコミュニティづくりの重要性や仮設住宅への入居、その後の生活にコミュニティを繋ぐ事の必要性などを伺いました。今後も長期化するであろう仮設団地内にて、互いに支えあいながら生活していく基盤を作るための支援活動も課題であると思いました。

 

 

甲佐町と小川町(懇親会)

D.[甲佐町の液状化の視察] 小川町までの途中で、以前視察を行なわせて頂いた甲佐町の液状化の現場にて、被災された住民の方の相談を受けました。地元の[甲佐町町議:佐野様]のご案内により現地の方のお話をお伺いし、片井氏持参の計測器にて簡易な測定等を行ないました。熊本地震においては半壊判定は公費解体という事で解体が進んでいますが、軽微な傾斜や沈下等の一部損壊等の住宅についての被災者救済や補助などが悩ましい問題です。

 

E.[小川町の視察] 当日の宿泊先となる宇城市小川町の塩屋では、会員でもある[熊本高専特命客員教授:磯田様(坂田様)]に現状や課題点についてを伺いました。地域の財産でもある伝統工法の古民家等の解体が着々と進んでいる状況の中で、住民による再建の動きが少しずつでも出ていることは明るい兆候でしょう。また、先生の教え子の方など若手の方が中心となって、地域づくりにも貢献されている事にも希望が持てました。福岡支部では、この地区の再建を継続して手伝っていくことにしています。

 その後の夕食&懇親会は大変楽しい宴となりまして、その際に新しい会員4名をお迎えできた事はとても重要な事でした。これにつきましてはまた今後報告させて頂きます。