熊本市内で被害の甚大であった分譲マンションの視察を行ないました。
他にも多くの同様の震災被害が存在するという事実に驚きを隠せませんでしたが、今後の改修や解体の協議がどのようになるかが懸念されます。
甚大な被害を受けた分譲マンションの視察
「熊本地震におけるマンションの被災に思う」
今般の熊本地震で多くのマンションが被災した。その内の2棟の被災状況を検証することができたが、共通する被災部位は廊下側の雑壁と玄関ドアの開閉不能が最も顕著な被災状況である。
当被害は10年前の福岡西方沖地震で被害が特徴的にで、廊下側の雑壁に地震水平力を伝えないよう、柱取り合い部での目地切りが告示で決められた。当2件のマンションは新耐震以降の建設ではあるが、告示をクリアーする建設年代ではなかった。
更にシティマンションでは耐震壁の被災が多々見られた。後者のコアマンションでは設備配管の打ち込み部分に壁亀裂が誘発している面、コンクリートのかぶりも取れていない部分があり、施工的に不良な箇所が多々見られた。
ただ両マンションとも柱・梁の構造体は健在であることから、補修により復旧がベターと思われる。ただ、後者のコアーマンションでは建物の傾斜が若干あるようで、基礎杭を含めた足元の調査が必要と思われる。
(福岡支部 古川博)
1Fピロティがぐしゃっとつぶれているような建物は「倒壊」とあきらめられますが、パッと見にはあまり大きい被害が感じられない建物でした。しかし近寄りよく見ると、悩ましいくらいに被害があるのです。しかし柱梁の主要構造部は大丈夫。じゃあどうするか?現在はだれも住んでいません。住民全員の意見をまとめるのがことのほか大変です。鉄筋の定着、かぶりはちゃんとしないとこんなになるのだなとの学びにはなりました。が全体の被害はなぜこうなったか、精査しないと判断できません。
それに比べて宇土市の公営住宅は1Fピロティの柱頭の主筋が破断して居り、構造的には大きな被害です。が、2F以上にほとんど問題がなかったのか1F柱にサポートを何本も設置し、すでに改修の方向に向かっているようでした。所有者が官庁というのはこんなに違うのですね。
(福岡支部:渋田)